2020年09月
秋の夕焼け、秋夕焼(あきゆやけ)、秋夕映(あきゆうばえ)。
秋は夕暮れ、夕日のさして、、と枕草子でありますから夕焼けはてっきり秋の季語と信じていました。しかし、俳句を始めて夏の夕日が一番大きく綺麗で夏の季語季題と知りました。
秋に詠みたい時は秋をつけなければなりません。行く秋を惜しむ寂しさも加わるのが秋の夕焼けですね。
光太郎の棲みたる山の秋夕焼
岡田智了
秋夕焼芯はまつくろかもしれぬ
夏井いつき
秋夕焼どの橋渡り帰らむか
石山惠子
秋夕焼ゴッホのいろを絞りきる
土濃塚古銭
病棟の端より父と秋夕焼 慶月
秋の夕日に特別の思い出を持つ人は多いのではないでしょうか。
1995年の3月から10月の初めにかけて父は高松の日赤で闘病生活を送り74歳で亡くなりました。
萩、山萩、こぼれ萩、萩の宿、萩の戸、野萩、白萩、乱れ萩など。
古来より秋の七草に数えられていますが草ではなくマメ科の小低木です。普通は山萩の数種をさし、東アジアと北米に分布しているということです。
萩の風情は日本人に昔から愛され万葉集で一番多く(142首)詠まれた花だそうです。二番目が梅ということです。
草冠に秋と書く字は漢の字ではなく日本独自の文字だったのです。秋の花の代表という訳ですね。
みやぎの萩は、花房が長く垂れて最も美しいと言われています。しかし宮城野にはなく日本海側に生えているケハギの園芸種で江戸時代に改良されたそうです。
芭蕉
行き行きてたふれ伏すとも萩の原
曽良
萩咲いて家賃五円の家に住む 子規
りんりんと白萩しろし木戸に錠
老妻と萩を写せるわきを過ぐ 慶月
今日は九段での花鳥例会を欠席しました。朝起きると喉が痛くて咳もでたからです。
ですから芭蕉全集などを久しぶりに開いてみました。
それにしても遊女と萩の句にはどきどきしてしまいますね。奥の細道の市振の宿で隣の部屋に泊まった遊女は伊勢参りを目指していたそうです。旅を一緒にと頼まれましたが芭蕉は断ったとのことです。その他の説としては曽良の記録にないので連句のための芭蕉の創作というのです。
前述の方がロマンがありますが、、、。
秋の雨、秋雨、秋霖(しゅうりん)、後の村雨(むらさめ)、秋の村雨、秋黴雨(あきついり)など
秋は秋晴れを思い浮かべますが、雨の多い季節でもあります。小雨が降り続くことが多いようです。秋の雨は万葉集の頃から用いてきた季語だそうで、もの寂しい感があります。
秋の雨は雨の総称で秋雨が長く続くのが秋霖であると山本健吉は述べています。
今週は台風が過ぎても毎日小雨が降り続いています。秋霖と言えますね。
俳句を始めてこの秋霖という言葉を知りました。
今週は台風が過ぎても毎日小雨が降り続いています。秋霖と言えますね。
秋雨の駅にはいつも別れあり
山田弘子
秋霖の洗ひ続ける仏足石 関口ふさの
秋雨や那智参道は昼灯(ともし)
高橋阿波女
三年まえの秋、滋賀県大津市の義仲寺を訪ね芭蕉の墓にお参りしました。雨がしとしと降っていて狭い庭の池から石亀が出て散策中でした。
葡萄、葡萄園、葡萄棚、葡萄狩、黒葡萄、山葡萄など。
葡萄は中央アジア原産で世界中で広く栽培されています。
日本での古名はオオエビカツラ又はエビカツラといい、野生の山葡萄をさしていたそうです。
現在はアメリカ種のデラウェアや、日本で作り出された巨峰が一般的に知られています。山梨、長野、山形、岡山が主要な産地です。岡山のマスカットが高級品で、その大きさはまさに葡萄の王と言えるのではないでしょうか。
最近では広島県で作り出されたシャインマスカットが注目されています。皮のまま食べられて甘味も強く人気が高まってきています。
蕪村
黒葡萄天の甘露をうらやまず 一茶
葡萄うるはしまだ一粒も損はず 虚子
佳き一語さづかる葡萄棚の下
向田貴子
今年の夏の暑さに負けて我が家の葡萄は駄目になりました。7月の青葡萄のころが懐かしいです。いつもならこの写真のように収穫を楽しめるのですが、、。
ベトナム旅行に行った後に穫れた葡萄だと写真でわかりましたが、なぜ沢田さんの本と写したかは全く覚えておりません。